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しいたけ

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日常的で身近な食材「しいたけ」。でも普段そのプロフィールを気にすることはほとんどありませんでした。そこで今回はその雄々しい姿にスポットライト。チョイスしたのは菌床栽培のしいたけです。(2012/01/06作成)

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品目:しいたけ shiitake Mushroom
植物学上の分類:キシメジ科 シイタケ属
原産地:中国、日本
生しいたけの主な産地:
菌床栽培は徳島県、岩手県、北海道など
原木栽培は群馬県、栃木県など
出回り期:通年(旬は3~5月と9~11月)

しいたけはもともとナラ、クヌギ、シイなど広葉樹の枯れ木に発生するきのこ。
日本や中国、韓国で食用に栽培されるほか、東南アジア、ニュージーランドなどまで広く分布しています。

日本での食用(栽培)の歴史は江戸時代にはじまったとされています。
昭和17年に農学博士・森喜作氏によってコナラなどの間伐材にしいたけ菌を植え付ける人工栽培法(「原木栽培」という)が開発されました。長らくその方法が主流でしたが、現在、生しいたけはおがくずなどを固めたものに菌を植え付け、ハウスで栽培する「菌床栽培」が主流となっています。
中国からの輸入も多いしいたけですが、菌床栽培のしいたけは国内では徳島県、岩手県などで多く生産されています。

肉厚でもちっとした食感と独特の芳香が特徴。乾燥させることで香りやうまみを増すのもしいたけならでは。煮物や炒め物、和食にも中華にも活躍するきのこです。


●栄養素

しいたけは炭水化物とタンパク質が主成分。低カロリーで食物繊維やビタミンB群も豊富です。また、しいたけにはエルゴステリンという成分が含まれ、これが紫外線にあたるとビタミンDに変化するのだとか。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養成分なので骨粗鬆症の予防などに役立ちそうです。

●保存方法

冷蔵庫で保存します。鮮度が落ちやすい食品なので購入したら早めに食べきりましょう。食べきれないときは天日に干して乾燥させるとよいそうです(書籍等ではそういうアドバイスが多い。ネット上ではスライスして干す方が多いようです)。日に当てることでうまみやビタミンDが増えます。

●ひとこと

しいたけはいわゆるきのこの代表格ですが、秋と春が旬だったんですね。年中手に入る食材ですが、大きさや形などは結構まちまち。また、最近は特に大ぶりな姿の整ったものが増えている気がします。産地や季節、あるいは栽培方法によるものだったのか、今後は注意して見ていきたいと思います。

☆原木栽培と菌床栽培

しいたけの栽培方法には原木栽培と菌床栽培があります。現在「生しいたけ」として販売されているものの約8割は菌床栽培。おがくずに栄養剤などを混合してブロックにし、菌を植え付けて栽培する方法で、短期間、低コストで大量生産できるため1990年代から普及しました。一方昔ながらの原木栽培は山からナラ、クヌギなどの広葉樹を切り出して菌を接種して栽培する方法です。森の中で育てるので自然環境により生産量が左右されます。乾しいたけは現在も大分県、宮崎県などで原木栽培で生産されています。

☆名前があります

しいたけは発生する時期により名前があります。「春子」「藤子」「秋子」「寒子」なんて女性の名前みたいですね。春子は2~4月頃に採れるもの、藤子は藤の花が咲く4~5月頃、秋子は秋に、寒子は1月に採れるもので寒い時期にゆっくり育つのでうまみが凝縮されているのだとか。また発生時の天候により「雨子(あまこ)」「日和子(ひよりこ)」などという呼び名もあるそうです。

☆どんこって?

よく聞く「どんこ」という呼び名。高級な乾しいたけのパッケージで見かけますね。実はしいたけは傘の開き具合によっても呼び名があるのです。「冬茹(どんこ)」は晩冬から初春にかけて採れるしいたけで、肉厚で傘の開ききっていないもの。特に傘の表面が割れた「花どんこ」と呼ばれる乾しいたけは高級品です。一方薄手で傘の開いているものは春・秋に育って傘が開いたとき収穫したもので「香信(こうしん)」と呼ばれます。どんこは煮込み料理、香信はスライスしてちらし寿司などに使うとよいようです。