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野菜たちの個性や魅力を探り、特性を生かしたおいしい食べ方を見つけよう!

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パイナップル&パパイア

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近頃よく見る輸入フルーツ。特にパイナップルなどその種類と流通量の多さに驚きます。少々値は張るけれど、やっぱり見過ごせない!ということで今回はトロピカルフルーツ。(2012/05/06作成)

パイナップル

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品目:パイナップル Pineapple
植物学上の分類:アナナス科アナナス属
原産地:ブラジル
品種:スムースカイエン
主な産地:タイ、フィリピン、ブラジルなど。国内では沖縄県
出回り期:輸入ものは通年。沖縄県産は初夏~夏

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日常に食べる、というよりはおつかいもの的なイメージのあるパイナップル。缶詰のイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ブラジル南部からパラグアイにかけての地域が原産のパイナップルは、大航海時代(15世紀末~16世紀初め)、コロンブスに発見されてヨーロッパに伝わり、世界の熱帯、亜熱帯に広まりました。当初は上流階級の人々が楽しむ高級果物でしたが、缶詰加工が発達したことで大衆的な果物になったのだとか。日本には江戸末期に漂着したオランダ船によって持ち込まれ、沖縄で生産が始まったとされています。
現在も国産パイナップルのほとんどは沖縄県産。石垣島などで栽培され、最近では「ピーチパイン」なる小型のパイナップルも見かけるようになりました。ソフトタッチという品種で果実部分は10cmくらいのかわいいサイズ。果皮が赤く、中が白く、桃のような香りがするのが特徴です。柔らかいので芯まで食べることができるそうです。
さて、そうはいっても市場に出回っている多くのパイナップルは輸入もの。「ゴールデンパイン」「スウィーティオ」などブランドは多々ありますが、多くはスムースカイエンという品種です。酸味と甘みがバランスよく、とてもジューシー。ジュースや缶詰めにもよく使われています。カットして生でいただくほか、酢豚や肉料理によく合います。

●栄養素

ビタミンA、ビタミンB、ビタミンCが豊富。タンパク質分解酵素が含まれているため肉料理の後に食べると消化によいとのこと(一方、タンパク質分解酵素はゼラチン質を分解するため生のままムースやゼリーにはできません)。

●保存方法

常温で2、3日、新聞紙等にくるんで冷蔵庫の野菜室で1週間程度保存できます。追熟はせず傷みやすいので、購入したら早めに食べるのがよいようです。

パパイア

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品目:パパイア papaya
植物学上の分類:パパイア科パパイア属
原産地:熱帯アメリカ
品種:ソロ種
主な産地:輸入先はフィリピン、アメリカ。国内では沖縄県、宮崎県、鹿児島県など
出回り期:輸入ものは通年。国産は5~8月頃

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パイナップル同様、16世紀の大航海時代に発見され世界に広まったパパイア。
日本には明治時代に伝わり、沖縄、小笠原、鹿児島などで栽培されてきました。広く出回るようになったのは、1968年に輸入が許可されるようになってからです。
現在はフィリピン、アメリカなどからの輸入がほとんど。100種類以上あるといわれるパパイアですが、出回っているのは大きく分けて果実が黄色のソロ種と、ソロ種よりオレンジ色が濃いサンライズ種の2種類。輸入の大半はソロ種です。
パパイアは完熟してからフルーツとして生食することが多いですが、熱帯諸国や沖縄などでは未熟な青い果実を野菜として食べる習慣があるのだとか。漬物やサラダにしたり、豚肉と炒め物にしたり。完熟前の青パパイアはタンパク質分解酵素「パパイン」を含み、肉料理を食べたあとの消化促進作用があるので、肉料理と合わせるのがよいわけですね。
フルーツとして楽しむ場合は、青いものは果皮が黄色くなるまで追熟させてからいただきましょう。ジュースにしたり、種をくり抜いたあとにアイスクリームを乗せたパパイアボートなどが人気メニューのようです。

●栄養素

ビタミンC、ビタミンE、食物繊維などを含みます。貧血や、妊娠中の女性に必要とされる葉酸も含まれています。

●保存方法

新聞紙などにくるんで常温で保存します。完熟したものは新聞紙にくるんだり保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

●ひとこと

暑い日に、夏っぽさと史上初(?)のお手頃価格に惹かれて購入したパイナップルとパパイア。ま、トロピカルフルーツってことで。と手軽にまとめようとしたものの、取り組んでみると一つひとつ奥は深い。2品目で調べる手間も2倍。もちろんレシピを考えるのも2倍。パイナップル&パパイア三昧の数日間でした。

☆国産パイナップル

沖縄でパイナップル栽培が始まったのは明治中頃。戦時中は中断されたものの戦後再開、気候や土壌が適していたことやパインブームもあって生産量は急増し、最盛期(1969年)には年間10万トンもの収穫があったそうです。しかしその後、オイルショックや外国産パイナップルの輸入自由化などの影響を受けて生産量は堕ち込み、2010年には年間収穫量が8780トン(農林水産省統計)まで減少しました。沖縄のパインは主に加工用だったため、加工工場の閉鎖が大きく影響したようです。今では加工用から生食用に生産を切り替え、少数ながらボゴールやソフトタッチ種などが生産されています。

☆口の中が痛い

パイナップルを食べて口の中が痛くなった経験はありませんか。パイナップルの未熟な果実にはシュウ酸カルシウムの針状結晶が含まれており、食べ過ぎるとこれによって口内が荒らされてしまうのだそうです。完熟したものは大丈夫なのかな?いずれにせよ、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。食べ過ぎには注意しましょう。