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石川早生 (里芋)

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秋から冬へと気温が下がるにつれ煮物が恋しくなります。煮物といえば里芋。今回は秋の早い時期に出回る小さな里芋、石川早生を取り上げてみました。(2013/12/01作成)

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品目:サトイモ
植物学上の分類:サトイモ科サトイモ属
原産地:マレー半島
品種(種類):石川早生
主な産地:全国(主に関西地方)
出回り期:主に9~10月

夏から秋へと季節が変わる頃に出回る石川早生。石川芋ともいわれ、「きぬかつぎ」によく使われます。きぬかつぎとは、皮つきのまま茹でた(あるいは蒸した)芋に塩を振っていただくシンプルな料理。かつては中秋の名月(旧暦8月15日)にきぬかつぎをお供えしたとされています。
里芋は子芋を食べるもの、親芋を食べるもの、親芋と子芋の両方を食べるものに分類されますが、石川早生は子芋を食べる品種。つるりとして粘りのある食感と淡白な味わいが特徴です。形が小さいので、きぬかつぎのほかまるごと使える煮物にも向いています。
石川芋の名前の由来は、大阪の南河内郡石川村(現河南町)の原産であることから。現在は全国で広く栽培されています。

●主な栄養素

主成分はデンプンですが、イモ類の中ではカリウムを多く含んでいます。粘りの成分はガラクタンとタンパク質が結合したもので、免疫力を高めるとされています。

●保存方法

紙袋などに入れて風通しのよいところで保存し、なるべく早めに使い切ります。使い切れないときは皮をむいて茹で(あるいは蒸して)冷凍にして保存するとよいようです。

●ひとこと

「きぬかつぎ」というのは何か、ということをしばらく知りませんでした。里芋の料理だと知ったのはそれほど前のことではありません。作ってみるととても簡単。蒸してそのままつるっ、ぱくっと。おやつにも、またお酒のつまみにもよく合います。

☆里芋はなぜ里芋?

山に自生する芋を山芋(自然薯)というのに対し、里で栽培された芋なので里芋、というのが名前の由来だそうです。原産地のマレー半島から中国を経て日本に伝わりましたが、伝わったのは稲作の伝来より早かったといわれています。さつまいもやじゃがいもが伝えられる江戸時代までは、里芋がイモ類の主流であったようです。

☆ぬめり

里芋を調理するとき、ぬるぬるして皮がむきにくいばかりでなく、後で手がかゆくなることもあります。そんなこともあって、冷凍のものや出来合いを買った方が楽、ということになるのでしょう。このぬるぬる成分はガラクタンという炭水化物がタンパク質と結合したもの。一方かゆみの原因はシュウ酸カルシウムという物質(あくのようなもの)。かゆくなった場合は塩や酢で手を洗うとよいといわれています。

☆土垂

vf0030-2.jpg石川早生より大きめで、いわゆる「里芋」として親しまれているのが土垂(どだれ)。関東で多く栽培され、粘りのある食感が特徴です。石川早生と同様の子芋用の品種。煮崩れしにくく「煮っ転がし」にするとおいしい里芋です。晩生種で旬は10~12月頃ですが、店頭には一年中出回っています。