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野菜たちの個性や魅力を探り、特性を生かしたおいしい食べ方を見つけよう!

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春キャベツ

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寒い中でもそろそろフレッシュ野菜が恋しくなる2月のおわり。淡い緑が美しい春キャベツを見つけました。(2012/02/26作成)

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品目:キャベツ cabbage
植物学上の分類:アブラナ科アブラナ属品種:春系
主な産地:千葉県、神奈川県、愛知県など
出回り期:3~6月

キャベツは普段わたしたちが食するもっともポピュラーな野菜のひとつ。古代ギリシャ、ローマでも食用とされていたというのですから歴史の古い野菜です。
日本に伝わったのは江戸時代。オランダから長崎に伝わったため「オランダ菜」と呼ばれました。しかし、当初は観賞用であり食用として栽培されるようになったのは幕末とか。さらに一般に広まったのは明治以降で、第二次世界大戦後に消費量が伸びました。

一年中出回っているためどれも同じで旬なんてないように思えますが、出荷時期よって「春キャベツ」「冬キャベツ」「夏秋キャベツ」に分けられます。

春キャベツは「春玉」「春系」「新キャベツ」とも呼ばれ、3~6月頃に出回るキャベツ。
ふんわりと巻きがゆるく葉がやわらかいのが特徴です。ヨーロッパのたけのこ型のキャベツを改良して作られた品種で、巻きが固くどっしりとした冬キャベツとは品種が異なります。近年やわらかな食感が好まれるようになり生産量は増加しているのだとか。
生でサラダにしたり、さっとゆでて和え物、汁物の具にするのがおすすめ。千切りにして、とんかつの付け合わせにすると最高といわれています。
主な産地としては、三浦だいこんでも有名な神奈川県三浦市などが挙げられます。

一方、冬キャベツは11~3月に出回るキャベツで煮崩れしにくく火にかけることで甘みを増すためポトフやロールキャベツなどの煮込み料理向き。水っぽさがないのでお好み焼きの具にもおすすめとか。また、7~10月頃に出回る「夏秋キャベツ」は長野県、群馬県(嬬恋村)など主に冷涼地で栽培されるもので「高原キャベツ」とも呼ばれ、葉がやわらかく水分に富んでいるのが特徴です。

この時期(2月)店頭に並んでいるキャベツの多くは「寒玉」と呼ばれる冬キャベツですが、そろそろ春キャベツも登場し始める頃。見つけたらぜひ重さや巻きのようすを比べてみてください。


●キャベツの栄養素

胃腸の粘膜を丈夫にし、機能を正常に保つはたらきがあるというビタミンUが豊富。また、ビタミンC、カロチンなどの栄養素も多く含まれています。ビタミンCは外葉や芯のまわりに多くあるとされるので、漬物にしたり、炒め物やみそ汁の具にするなどして無駄なく食べたいものです。

●保存方法

ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。カットしたものは切り口をラップでくるみ、外葉で包むようにしておくと、乾燥も防げます。

●ひとこと

2月。春キャベツを手に入れるには少し気が早かったようで、外葉を剥かれてちんまりとラップにくるまれたものは見つけたものの、野性味ある春キャベツにはなかなかお目にかかれませんでした。あれこれ料理を試したいのになあと焦りつつ(焦る理由はないのですが)、八百屋さんやスーパーを徘徊。「新キャベツ」の表示に買ってみると、春系でも寒玉でもないニュータイプ(!)だったり。意味もなく苦労しました。
ちなみにニュータイプは「とくみつ」というブランド(静岡県産)。寒玉に近い印象で甘みが強く煮崩れせず、シューファルシにしておいしくいただきました。

☆キャベツは丸い?

普段よく目にするキャベツは葉が丸く重なって球状になった野菜ですが、実はキャベツにも結球するものとしないものがあるのです。地中海沿岸原産のキャベツの原種はケール(青汁の材料などになる)のような不結球タイプだったといわれています。これがヨーロッパに広まる過程でブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツなどに分化し、現在のような結球型のキャベツが誕生したのだとか。芽キャベツの不結球新品種、「プチヴェール」になんとなくその面影が見てとれます。

☆サボイキャベツ

輸入品が多かったサボイキャベツも近頃国産もの(長野県産など)を見かけるようになりました。ちりめんキャベツと言われるように縮れた丈夫な葉と芸術的とさえいえる葉脈の模様が特徴。葉自体がクッション材のようで、いくら煮込んでも溶けたり崩れたりしません。以前このキャベツでシューファルシ(キャベツまるごと1個使って煮込む肉詰め料理)を作ってみたのですが、特大なべで2時間煮込んでもびくともしませんでした。まだ一般的な野菜とはいえませんが、こうした野菜が普通に出回る日もそう遠くなく訪れるのでしょうね。