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野菜たちの個性や魅力を探り、特性を生かしたおいしい食べ方を見つけよう!

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菜の花

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年が明けると店頭には菜の花が並びます。寒いけど一足先に春を味わいたい!ということで今回は菜花です。(2012/01/21作成)

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品目:ナバナ Field Mustard
植物学上の分類:アブラナ科 アブラナ属
原産地:地中海沿岸、北ヨーロッパ、中央アジア
主な産地:千葉県、神奈川県、愛知県など
出回り期:1~3月

アブラナ科の菜花は白菜やブロッコリー、カラシナなどと同じ仲間。花が開く前に収穫して蕾(つぼみ)、花茎、若葉を食べます。食用となったのは明治以降で、江戸時代には主に採油用として栽培されていました。

当時の菜花は中国から伝わった地中海原産の品種ですが、明治時代に西洋種の「菜種」が導入されると採油用はたちまち西洋種にとってかわられました。
現在、食用の菜花は品種改良された菜種をさすことが多いようですが、黄色い花を咲かせるアブラナ科の野菜は広く菜花と呼ばれます。古い在来種の流れをくむものとしては京都の花菜などがあります。

独特のほろ苦さと花の香りが特徴の菜花はおひたしや和え物、吸い物などが定番。素材そのものの風味をシンプルに味わいたい野菜です。

ところで、欧米ではいわゆる菜の花を食べる習慣はないのか適切な英名が見つかりません。
Field MusterdもしくはTenderstem Broccoliなどと表現されていますが、日本で食べる菜花と同じ種類なのでしょうか?
イタリアでは菜の花に似たチーメ・ディ・ラペと呼ばれる野菜がパスタの具として使われるそうです。そのためか、菜の花を使ったパスタのレシピは多くあります。

●栄養素

ビタミンB1、B2、C、カルシウム、鉄などを多く含む緑黄色野菜です。皮膚や粘膜の抵抗力を高め、風邪の予防などによいといわれます。また、鉄分を多く含むことから貧血の予防効果も期待されます。

●保存方法

結束されて販売されているものは結束をほどき、乾燥しないよう濡れたキッチンペーパーなどで包んで立てて冷蔵庫で保存します。2~3日が保存の限度なので、すぐに使わない場合は茹でてから冷蔵、または冷凍保存を。vf0007-3.jpg
放っておくと花が咲いたりします(写真)。

●ひとこと

野菜や果物に旬というものがなくなり、何でもいつでも手に入るようになりました。菜花も今ではほぼ通年出回るようですが、それでも季節を感じさせてくれる数少ない食材のひとつ。見つけたらぜひ春の香りを楽しみましょう。

●余談

菜の花っぽい?アブラナ科の仲間野菜たちを見つけました。

博多な花 おいしい菜(福岡県産) アブラナ科アブラナ属
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洋種菜花の即枝を食用とした緑黄色野菜で福岡県のブランド。見た目は菜の花というより葉っぱですが、ビタミンやカルシウム、鉄を多く含むなど栄養価の高い野菜。あくが少ないので下茹で不要。おひたし、和え物、煮物、天ぷらなどに活躍します。
おひたしにしてみましたが、茹でると花っぽい独特の香りが立つものの、ほろにがさはほとんど感じませんでした。秋~初春にかけて首都圏を中心に出回るようです。

アスパラ菜「さぬき食べて菜」(香川県産) アブラナ科アブラナ属
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某高級スーパーにてなんと、驚きの1袋99円で販売されており思わず買ってしまいました。
アスパラというより小松菜っぽいと思ったらやはり。香川県の郷土野菜さぬき菜と小松菜を掛け合わせて作られた新野菜とか。おひたし、和え物にとあったので辛子納豆和えとみそ汁の具にしてみました。シャキシャキした食感が爽快。
菜の花のような蕾がついていましたが、2日置いたらかわいい黄色の花が2つ咲きました。


☆菜花いろいろ

アブラナ科の野菜を総称して菜花と呼びますが、品種は大きく畑菜群、カブナ群、菜心群などに分類されます。畑菜は京都の伝統野菜。もとは採油用でしたが冬場の青物が少ない時期にやわらかい葉を煮て食べるようになったとか。伏見の花菜(寒咲菜種の蕾)も畑菜の一種。カブナとはつまり蕪。カブナ群は根の太い野菜で漬物に適しているため漬菜とも呼ばれます。信州の野沢菜もカブナ群。菜心(サイシン)は中国野菜で外見は菜の花によく似ています。トウがたったときの花茎と蕾を食べるそうです。――ややこしいですね。

☆在来種は衰退する?

野菜のことを調べていると、元はこういう種類であったがどこそこから新種が渡来し衰退という構図によく出くわします。にんじんやかぼちゃなどがそうですが、野菜に限らずタンポポやスミレも今普通に見る種類は西洋種なのだとか。在来種とは弱い品種だったのでしょうか、それとも地球環境が変われば仕方がないのか、あるいは生産性や効率の問題なのかな。新しいものが悪いというわけではないのでしょうが、一抹の寂しさも感じます…。